日本においては平成の時代から急速な少子高齢化が進み、令和となった現在もさらにその状況へ拍車がかかっています。職種によっては、すでに慢性的な人手不足を実感しているかもしれません。1人でも多く優秀・有能な人材を確保するため、外国人(留学生)の採用を検討している企業も少なくないでしょう。
この記事では、外国人(留学生)を採用する際のメリット・デメリット、採用活動を行うにあたっての注意点などをご紹介します。
外国人(留学生)採用の動向
まず、日本国内企業における外国人の採用動向についてみていきましょう。厚生労働省による「平成30年10月末現在の『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、外国人採用のニーズは増加傾向にあります。 具体的には、上記資料による外国人労働者数は1,460,463人です。前年同期と比較しおよそ14%増加しており、平成19年の届出義務化以来の過去最高を更新しました。
外国人労働者が増加傾向にあることについて、どのような社会的背景があるのでしょうか。
日本の労働人口の減少
日本では少子高齢化が進んでおり、労働人口の持続的な減少が指摘されています。このため企業の人材採用においても、優秀な人材の獲得競争が激化する状況が続いています。
このような影響から、人材確保の現場を日本国内だけでなく海外にまで拡大し、留学生をはじめとする外国人採用に力を入れる日本企業が増えているのです。
外国人留学生の増加
日本学生支援機構による「2019(令和元)年度外国人留学生在籍状況調査結果」によると、令和元年5月1日現在の留学生の数は312,214人で、前年と比較し4.4%の増加となっています。
政府が2008年に発表した留学生30万人計画(2020年を目処に留学生を30万人受け入れることをめざす政策)を、2020年以前に達成できたこととなります。
国際競争力増強のためにさまざまな学校や研究機関が、省庁の協力を得ながら優秀な留学生を確保するための取り組みに注力した結果ともいえるでしょう。
入管法改正による影響
外国人労働者を確保するために行われた、もう1つの政策も増加の要因となっています。それは2019年4月に施行された、改正入管法にともなう外国人労働者受け入れ強化です。
この改正入管法では、外国人の在留資格として新たに「特定技能」が創設されました。具体的には、漁業、飲食料品製造、外食、介護、農業、宿泊業、ビル清掃業、素形材産業、産業機械製造、航空業、電気および電子機器関連産業、自動車整備業、建設業、造船および船舶工業の14業種で、外国人が在留資格を獲得し就労することが可能です。
特定技能の追加は改正入管法の目玉ともいえる要素で、現にこの政策が功を奏した結果、上記の各業種で多くの外国人が入国し就労を実現しています。
外国人(留学生)雇用のメリット・デメリット
従来外国人を多く雇用している企業においては、今後も問題なく外国人雇用を継続できるでしょう。ただしこれから新たに外国人の採用を検討している企業の場合、あらかじめ外国人雇用のメリット・デメリットを把握しておくことをおすすめします。
外国人(留学生)雇用のメリット
- 優秀な若手人材を確保できる
少子化による若手人材の不足が指摘される日本において、優秀な人材は各企業の奪い合いとなり獲得が難しくなりがちです。雇用の幅を外国人にも拡げることで、優秀な人材確保の可能性も広がります。 - 新たな市場開拓や海外進出の可能性が上がる
外国人の雇用によって、企業そのものの海外進出や海外への商圏拡大が見込める可能性も上がります。企業の国際競争力を高めるために、外国人労働者は強力な戦力となってくれることが期待できるでしょう。 - 新しいアイデアの創出
社内に外国人がいることで、異文化のなかで生まれ育ってきたことによる斬新なアイデアの提案も期待できます。
外国人(留学生)雇用のデメリット
- 雇用に関する煩雑な手続き
就労ビザの取得をはじめ、外国人の雇用には複雑で煩雑な手続きが必要です。万一手続きに不備があり、意図せず不法就労と見なされてしまった場合、事業主は多大な責任を負うこととなってしまいます。一定の期間や手間はかかりますが、正しい手段で雇用に関する手続きを踏むことが必要です。 - 研修期間の長期化
日本でのビジネスマナーや商習慣、ビジネス特有の日本語表現など、外国人が日本の労働環境に慣れるため習得しなければならないことはさまざまです。入社後の研修にも長い期間を要する可能性がありますので、それらを踏まえて雇用にあたる必要があります。 - 研修期間の長期化
日本でのビジネスマナーや商習慣、ビジネス特有の日本語表現など、外国人が日本の労働環境に慣れるため習得しなければならないことはさまざまです。入社後の研修にも長い期間を要する可能性がありますので、それらを踏まえて雇用にあたる必要があります。
外国人(留学生)労働者採用の流れ
外国人を雇用するためには、どのような準備や手続きを踏んで採用活動を行う必要があるのでしょうか。ここでは、留学生の新卒採用を例に挙げ、おおまかな採用の流れをご紹介します。
1.在留資格の確認
留学生は日本での在留資格を保有していますが、事前に在留資格と実際に行っている活動の内容が一致しているかを確認しましょう。留学生の場合は在留カードの「在留資格」欄に「留学」と記載があるはずです。
2.雇用契約の締結
留学生が日本国内で就職する場合、就労ビザを取得しなければ就労を開始できません。ビザ取得にあたり必要となる書類のなかに、雇用契約書の写しがあるため、就労ビザの申請前に雇用契約を行っておきましょう。
ただし「在留資格の許可によって雇用が成立する」という条件を課すため、「停止条件付き雇用契約」という内容で雇用契約書を作成しなければなりません。
「本労働契約書は当社に就労可能な在留資格の許可を条件とし、就労許可がなければ無効とする」などの条項を、雇用契約書に設けておく必要があります。
3.就労ビザの変更申請
雇用契約書による雇用契約を行ったら、在留資格変更のため就労ビザの申請を行います。本人側と企業側でそれぞれ必要書類をそろえ、入国管理局に申請することとなりますが、この手続きは行政書士へ依頼の上代行してもらうことも可能です。
4.雇用開始
本人の就労ビザが取得でき、新たな在留資格が得られたらいよいよ雇用開始となります。
外国人(留学生)採用の注意点
外国人の採用にあたっては、先に述べたメリット・デメリットを踏まえつつ注意したい点がいくつかあります。
文化や風習の違いを理解する
日本と外国ではさまざまな文化の違いがあるため、本人も周囲も多少の違和感があるかもしれません。しかし互いに理解を示しながら交流を図り、周囲は本人が早期に現場へ慣れてもらえるようサポートをしましょう。
就労資格の有無の確認
外国人を採用する場合は前の項目でご紹介した手順で採用活動を行いますが、中途採用などの場合は現状の就労資格の状況を必ず確認しましょう。その上で、新たな就労ビザ取得が必要であれば対応する必要があります。
日本語力の把握
外国人を雇用する際は、本人の日本語の会話および読み書きのレベルを事前に把握しておきましょう。その上で、適したコミュニケーションの手段を検討しておく必要があります。
本人のキャリアアップの検討
外国人であることを生かし、適したキャリアアップが図れるよう企業側もサポートを行うことが大切です。もし企業が海外展開や商圏の拡大などを検討中であれば、将来的に企業にとっても最適な人材となる可能性があります。
事前に社員に知らせておく
外国人の採用を考えている場合、検討段階で事前に在籍社員に通知しておきましょう。現場に早くなじんでもらえるよう、入社後積極的な交流を図るなどのサポートを促しておくことがおすすめです。
外国人採用担当者に対するレソリューションの強み
外国人(留学生)の新規雇用を検討中であれば、外国人採用に強い就職支援・人材紹介サービスの利用も1つの手です。レソリューションでは外国人採用に強みを持っており、留学生の新卒採用などにも力を入れています。外国人の新規採用を考えている企業の採用担当の方は、ぜひレソリューションまでお気軽にご相談ください。
まとめ
国際情勢が流動的ななかでも、有り難いことに日本での就労を考えている外国人は増える傾向にあります。特に海外での展開を考えている企業にとっては、外国人(留学生)の雇用が大きなビジネスチャンスとなる可能性もあるでしょう。
外国人採用のメリットと注意点をあらかじめ把握した上で、優秀な人材確保と将来のビジネス拡大に向け、外国人採用を検討してみてはいかがでしょうか。