車の故障修理に活用される「OBD2」とは?

仕事に役立つ情報

OBD2は、コンピューター制御された車の、目視では確認が難しい不具合の発見に役立ちます。それに加えて、OBD2対応のパーツを装備することで、多くの車の情報を確認・活用しながらカーライフを豊かにしてくれるシステムでもあります。

また、高度な電子制御による安全支援技術などが搭載された自動車の普及により、国としても、車検における電子制御装置の検査のあり方が見直され、OBD2を車検に取り入れる動きが進められています。

ここでは、OBDの基本機能や仕組みをはじめ、OBDからOBD2への変遷やOBD搭載義務化の流れなどを解説します。そして、OBD2の活用法や現在注目されているOBD車検などについてもご紹介します。

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OBDとは?

まずは、OBDの仕組みや歴史を解説します。

OBDとは

OBDとは「On Board Diagnostics/オン・ボード・ダイアグノーシス」の頭文字を取ったもので、日本語にすると「車載故障診断装置」です。車の自己診断を行なうシステム・機器のことを指します。

現在では、車はコンピューターで制御され、電気信号で管理される箇所も多いため、目視では確認できない部分が増えています。そのため、車にトラブルが起こった際に、どの部分が故障しているのか確認することが難しくなっています。

このような、目視では確認できない不具合を確認できるシステムがOBDです。

OBDの仕組み

OBDは、車の異常を検知して、ランプの点滅や警告音によってドライバーに異常を知らせる仕組みです。

またOBDは、ドライバーに車の異常を知らせるだけではなく、故障内容がOBDに記録されるようになっています。スキャンツールでOBDのデータを読み取ることで、異常の原因を特定し、トラブルを解決するのに役立ちます。

OBDの歴史

OBDは、OBD2へバージョンアップされ、世界中でOBD2搭載の義務化が進められました。
ここでは、OBDの誕生や義務化の流れなど、OBDの歴史をご紹介します。

OBDの誕生

OBDは、1968年にフォルクスワーゲンが導入したことから始まり、1980年代のアメリカのカリフォルニア州で普及したシステムです。
しかし、当時のOBDはトラブルの判断方法やコネクターの形、故障コードが統一されておらず、メーカーごとに異なりました。

その後、故障コードとコネクターの形を統一したタイプであるOBD2が誕生しました。OBDからOBD2にバージョンアップしたことで、どのようなスキャンツールでもスムーズに診断できるようになりました。

OBD2搭載の義務化とは

1996年にアメリカ国内でOBD2搭載が義務化され、その後、徐々に世界中で義務化が進められました。日本国内では2009年以降、新型車へのOBD2搭載が義務化されています。

OBDは、OBD2にバージョンアップされて規格が共通になったことで、どのような車であってもトラブルの発生箇所や原因の解明がスムーズに行なえるようになりました。

OBD2が読み取れること

OBD2のスキャンツールを利用すると、どのようなことが読み取れるのでしょうか? 故障コードの種類をはじめ、OBD2スキャンツールを使った読み取り作業の基本的な流れをご紹介します。

OBD2が読み取れることと故障コード

OBD2は、車の異常や故障を記憶し、故障コード(DTC)を表示します。
故障コードは4種類存在し、その故障コードを読み取ることで、異常箇所を確認可能です。また、故障が発生した瞬間時点の各センサー値のデータである、フリーズフレームデータを読み取ることができます。

故障コードの種類

「P」で始まる故障コード:エンジンと動力伝達装置に関する故障
「C」で始まる故障コード:ブレーキ、ABS、その他シャーシに関する故障
「B」で始まる故障コード:エアバッグ、その他ボディに関する故障
「U」で始まる故障コード:CAN、その他ネットワーク関係に関する故障

OBD2スキャンツールでの読み取り作業の流れ

OBD2スキャンツールとは、OBDに接続することで故障やトラブルが起こっている原因、点検項目を確認できるツールを指します。
OBD2スキャンツールでの読み取り作業の流れは以下のとおりです。

  • イグニッションスイッチは必ずオフにする
  • データリンクコネクターにケーブルを接続する
  • イグニッションスイッチをオンにする(エンジンはかけないようにする)
  • 上下ボタンでメーカー名を選択する
  • 確認したい箇所をリストから選択する
  • 故障コードが表示される

OBD2の活用の仕方

OBD2を活用する方法と、OBD2の故障箇所診断以外の特徴について紹介します。

OBD2の特徴

OBD2は、車のトラブルを確認する機能だけではなく、車速やエンジン回転数、水温、燃料消費量などを診断できます。また、モニターに吸気温・燃費・速度・電圧などの情報を引き出すことが可能です。

また、OBD2に接続する方法はOBD2コネクターに機器を接続するだけなので、OBD2が検出する情報を容易に活用できます。

OBD2の活用

OBD2接続に対応した後付けのスピードメータにOBD2を接続することで、電圧や燃料消費量、運転時間やタービン圧力など、さまざまな情報を確認することも可能になります。

同じく、後付けのリーズナブルなカーナビゲーションを使用する場合でも、OBD2のデータと連動することによって詳細なデータ連動が可能になります。GPSが搭載されたカーナビを利用する際にも、車がいる場所をより正確に確認可能です。さらに、レーダー探知やドライブレコーダーにOBD2を接続することで、取得できる情報量も増えます。

OBD2の活用法としてスマートフォンを利用した活用があります。Bluetooth搭載の機器を設置してスマートフォンアプリで車両情報を受信し、スキャンツールとして使用することもできます。

OBD車検とは

OBDを車検に取り入れる制度作りが進められています。OBD車検制度が導入されれば、対象車は「OBD車検」を受ける必要があります。
OBD車検の概要や対象車、実施時期を以下で見ていきましょう。

OBD車検とはOBDを活用する自動車検査のこと

OBD車検とは、国土交通省が検討を進めている、自動車の自動ブレーキシステムをはじめとした電子制御装置の検査において、OBDを活用する自動車検査のことを指します。

近年、自動運転技術を搭載した自動車が急速に普及しているのを受け、自動運転技術を支える電子制御装置の機能維持の重要性が高まってきています。

OBDを活用して車の不具合を検知することで、電子制御装置の機能維持を図れるため、従来の外観チェックに加えてOBD車検の導入が進められています。

OBD車検の対象車

OBD車検の対象車は、多仕様自動車もしくは型式指定自動車であり、バスやトラック、乗用車が対象となります。国産車は2021年以降の新型車、輸入車は2022年以降の新型車がOBD車検の対象になります。

OBD車検の対象装置は、排出ガス等発散防止装置、横滑り防止装置、自動ブレーキなどの運転支援・自動運転技術です。今後は、オートライトシステム、先進ライト、車線逸脱警報装置といった装置も、対象になる可能性があるといわれています。

なお、OBD検査時に異常を知らせる警告灯が点灯したとしても、保安基準に関係のない場合や故障と判断されない場合などもあるため、警告灯の点灯のみで車検の合否を判断することはないとしています。

OBD車検実施開始時期

国土交通省の「車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方について(最終報告書)」において、OBD車検は2024年以降から開始されることが発表されています。

国産車は2024年以降から、輸入車は2025年以降からOBD車検の実施が開始されることになります。

なお、OBD車検実施まで時間があり、OBD車検については2020年の現在においても制度の確立が進められています。今後行なわれる予定であるOBD車検のプレテストや、その結果なども含め、OBD車検の動向が注目されています。

おわりに

日本国内においては2009年以降の新型車からOBD2の搭載が義務づけられているため、自動車を運転する人にとってOBD2は身近なシステムだといえます。

OBD2の普及にともない、OBD2を活用できるパーツの充実や、OBD2車検制度が導入されるなど、市場や検査制度なども変化しつつあります。

今後制度化されていくOBD車検をはじめ、OBD2の活用法などについても理解を深めておきましょう。

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