整備士不足の原因は?業界の現状と将来性について【2025年最新】

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自動車は私たちにとって常に必要な移動手段であり、その整備に携わる人の存在も欠かせません。しかし、昨今の情勢から注目される職種群「エッセンシャルワーカー」の1つともいえる自動車整備士が、現在足りていないといわれています。

この記事では、問題となっている自動車整備士不足の背景や、整備士の将来性などをご紹介します。

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自動車整備士が不足している原因とは?

なぜ、人々の暮らしに欠かせない職種である自動車整備士の数が足りないという状況が生まれてしまっているのでしょうか。

少子高齢化

わが国では急激に少子高齢化が進んでおり、総人口のなかでも特に労働人口が減少していく傾向が顕著です。このため、業界を問わず慢性的な人手不足が続いており、この状況は好転する見込みがないといわれています。

働く人の絶対数そのものが減っている影響を受け、自動車整備士も足りない状況が続いているのです。

若者の自動車離れ

「若者の自動車離れ」という言葉をよく耳にします。なかなか所得が増える見通しがないなか、さまざまな費用がかかる自動車を所有する意欲がわかないケースです。昨今の若者世代の特色といわれる「コスパ至上主義」も相まった、経済的要因からの車離れといえるでしょう。

それに加え、若者に限らず自動車を持たない人も増えています。特に、電車や地下鉄など公共交通機関が主要な移動手段となる地域では、幅広い世代で自家用車のない世帯が多くなっています。

また、現代は多様化の時代といわれますが、価値観の変化にともなって自動車を持つことへの考え方も変わりました。昭和から平成初期までのように、自動車の保有が社会的ステータスであるという見方が薄くなり、車に憧れる人が少なくなりました。そういった背景が、自動車整備士を志望する人の減少につながっているといえるでしょう。

転職に対するハードルの低下

従来の日本では定年まで同じ企業で働く終身雇用という価値観が一般的でしたが、最近は「どの業界・企業でも通用する幅広い経験・スキルを持っていること」を重視する若年層が多い傾向となっています。新卒だけでなく中途採用に力を入れている企業も増えており、転職が選択肢の一つとして前向きに捉えられていることから、転職へのハードルが低下していると考えられます。

データで見る自動車整備士不足の現状

自動車整備士が減っているとご説明しましたが、実際の減少数や整備士平均年齢、整備工場数の推移はどのような状況となっているのでしょうか。

整備士の数の推移

日本自動車整備振興会連合会の「令和5年度 自動車特定整備業実態調査」によると、自動車整備士の数の推移は以下のとおりです。

出典:日本自動車整備振興会連合会 「令和5年度 自動車特定整備業実態調査」

平成25年度に343,210人いた自動車整備士は、令和5年度には331,255人まで減っており、10年間で実に11,955人もの人が減少している状況です。さらに数字で見ると令和5年度はここ10年で最も整備士の数が少なく、整備業界における人手不足の深刻な状況がより明確に分かるかと思います。

整備士の平均年齢の推移

自動車整備に携わる人(整備要員)の平均年齢の推移は以下のとおりです。

出典:日本自動車整備振興会連合会 「令和5年度 自動車特定整備業実態調査」

令和5年度の「自動車特定整備業実態調査」では、自動車整備に携わる人(整備要員)の平均年齢は47.2歳となっており、年々上がっている傾向となっています。体を動かす機会が多く活動的な職種の中では、平均年齢が高めであるという特徴が分かります。

整備工場数の推移

整備工場数の推移は以下のとおりです。

出典:日本自動車整備振興会連合会 「令和5年度 自動車特定整備業実態調査」

整備工場の総数は、平成25年度で91,933事業場、令和5年度は91,849事業場となっています。平成27年度以降減少傾向にありましたが、令和3年度からは徐々に増加しており、整備士の数の推移を鑑みると人手不足が慢性化していることが予想されます。

整備士不足に対する国の取り組み

整備士不足が深刻化している昨今、国では①人材の募集・②人材の定着・③人材の育成の3つの柱を注力的に取り組んでいます。

女性整備士が働きやすい環境整備

自動車整備業ではまだまだ男性の整備士が多いのが現状です。しかし近年、女性特有のきめ細かな作業による品質向上等の観点から、自動車整備業では女性の整備士への注目が高まっています。

これを受けて国土交通省自動車局では、女性が働きやすい環境づくりのためのガイドラインを策定し、活躍事例の提示や職場環境の改善、女性に対する自動車整備業のPR活動などが行われています。

特定技能制度による外国人整備士の受け入れ

少子高齢化や働き方の多様化が加速している日本では、人材確保のため特定技能制度による外国人整備士の受け入れを行っています。自動車整備分野においては、特定技能1号の在留資格を取得すると最長5年、さらに特定技能2号へ移行すると永続的に日本で働くことが可能となる仕組みです。特定技能制度によって、専門的技能を持つ外国人自動車整備士が日本の整備業界で長く活躍してくれることに期待できます。

自動車整備士の将来性について

整備士不足が叫ばれるなか、整備士をめざしているみなさんは志望職種の将来について考える機会も多いと思います。ここでは、自動車整備という職業の将来性についてもみていきましょう。

売り手市場が続く

自動車整備士の数は不足しているのが現状で、今後も引き続き就職・転職において「売り手市場」が続くことが予想されます。売り手市場とは、企業の求人数に対して求職者数が少ないことを意味しています。このため、整備士の需要は高い状態がしばらく続き、求職者側は多くの選択肢から希望に合った企業を見つけられる状態です。

年収は増加している傾向にある

整備士業界の深刻化する人手不足に対し、国も供給を増やすための取り組みを行っています。

日本自動車整備振興会連合会による「令和5年度 自動車特定整備業実態調査」によると、自動車整備に携わる人(整備要員)の平均年収は年々増加傾向にあります。

平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度
3,911,400円 3,924,300円 3,963,000円 3,987,000円 4,043,800円 4,172,800円

さらに2018年に制度が拡充された厚生労働省の「専門実践教育訓練給付金」は、雇用保険に加入していた求職者に対し、厚生労働大臣指定の専門実践教育訓練の受講中もしくは修了後に、受講にかかった経費の50%(年間40万円上限)を、原則2年・最大3年までハローワークから支給するものです。

自動車整備課程の受講も専門実践教育訓練にあたるため、整備士をめざす離職者の方も一定条件を満たすと給付を受けられます。

安定した働き方ができる

社会から自動車がすぐになくなったり急減したりすることはなく、整備にあたる仕事もなくなることはありません。さらに近年は、ハイブリッド自動車や電気自動車も普及しつつあり、自動車業界で働いていなければ身につけられない新しい技術をどんどん学べるチャンスが広がっています。

自動車整備事業所は、今後も引き続き必要とされることが予測されます。整備士資格を持っていれば安定した働き口を見つけやすく、長く働くこともできるでしょう。

 

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自動車整備業は人材の需要が安定して高く、将来性も見込める業種です。担い手が絶対数として減っていく見通しを踏まえ、未経験や無資格での就職を視野に入れることも可能です。もちろん整備業で実務経験を積めば整備士資格取得の道が開けますから、どなたでもキャリアアップが見込めるところも魅力。

「経験がない」「資格を持っていない」とあきらめず、整備業界へのチャレンジを考えてみてはいかがでしょうか。

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