履歴書は、就職・転職の際に自身の経歴を明らかにするための重要な書類。採用の合否にも影響するので、正しい書き方を知ることが大切です。 しかし、履歴書を作成するのはかなり大変なものです。また転校や休学した場合、在職中に会社名が変わってしまった場合など、書き方に迷ってしまうようなことも多々あります。
この記事では、自動車整備士の転職に必要な履歴書の「学歴」「職歴」についての正しい書き方を、具体的例とともにご紹介します。
なお、職務経歴書の作成方法について知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
自動車整備士の履歴書の書き方
履歴書はこれまでの経歴や経験、資格などの情報を通して自分を知ってもらい、企業にアピールするための重要な書類です。しかし、履歴書の基本ルールを無視して自分本位に作成すると好印象は受けられません。
履歴書を書く前に、履歴書の書き方や基本のルールをおさえておきましょう。
履歴書の作成方法
自動車整備士の履歴書は業界の特別な記載方法は特にないため、一般的なルールに沿って作成します。履歴書を書くときは、手書きとパソコンのどちらで作成しても問題ありません。ただし、企業から「手書きで」と指定されている場合は手書きで作成しましょう。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
履歴書にはさまざまな種類がありますが、企業側から指定がない場合は自由に選ぶことができます。市販の履歴書やダウンロードできるフォーマットは記入項目やサイズが異なるため、自分に合ったフォーマットのものを使用しましょう。企業にアピールしたい項目のスペースが大きいものや、自分が特にアピールしたい項目があるかなどを確認して選ぶのがおすすめです。
履歴書のフォーマットに関して企業から指定がある場合は、適切なサイズ・形式のものにする必要があるため、事前に確認しておきましょう。
履歴書の学歴の書き方
まずは、履歴書の学歴の記入方法を正しく理解しておきましょう。
一行目中央に「学歴」と記入
履歴書の「学歴・職歴」欄は、一行目中央に「学歴」と記入して書き始めます。「学」と「歴」の間に一文字分程度のスペースを空けると、全体のバランスが整います。
学歴は古い方から順に正式名称で記入
学歴は「卒業」と「入学」を漏れなく記載していくのが基本的なルールです。また、在学中の学生は「卒業見込み」と記載します。
学歴について、どの時点から記載すべきかについては特に決まりはありません。一般的には、新卒の場合は中学校卒業から、中途の場合は高校卒業から記載し、古い方から順に左詰めで記入します。
このとき、学校名や学科名は省略せずに正式名称を記載しましょう。また、私立の中学、高校は、学校名の前に「私立」と入れます。
◆良い記入例
「東京都立〇〇中学校」
「私立 〇〇学園高等学校〇〇科」 「〇〇大学 〇〇学部〇〇学科」 |
◆良くない例
「都立〇〇中学校」(←「都立」ではなく「東京都立」と記載しましょう)
「私立〇〇高校」(←「高校」ではなく、「高等学校」と記載しましょう。「中学校」は「中学校」の記入で問題ありません) |
年号は西暦もしくは和暦で統一
学歴・職歴欄に記載する年号は、和暦でも西暦でもどちらでも問題ありません。
ただし、どちらかに統一し、和暦と西暦が混在しないようにしましょう。
職歴がない場合は、最後に「以上」と記載
新卒の方やこれまで仕事をしたことがない方は、最後に右詰めで「以上」と記載します。
職歴のある方は「以上」とは記入せずに、続けて職歴を記載しましょう(職歴の書き方は、このページの下部にて詳しく記載しています)。
履歴書の職歴の書き方
最終学歴まで漏れなく記入したら、続いて職歴を記入していきます。
学歴から一行空けて「職歴」と記入
職歴の記入を始めるときは、学歴の最後の行から一行空けて「職歴」と記載します。
一行目に記載した「学歴」とだいたい位置が揃うようにバランスを見ながら記入しましょう。
会社名・部署は古い方から順に正式名称で記入
学歴と同様に、職歴も古いものから順に記入していきます。入社の欄は「〇〇株式会社 入社」、退職は「〇〇株式会社を一身上の都合により退職」と記入します。その際、会社名は法人格(「株式会社」「有限会社」など)を含めて正式名称で記入しましょう。
さらに、部署についても就業時の所属部署名の正式名称を記載します。もし役職がついていた場合には、役職名も記載することでアピールに繋がります。
◆会社名・部署名の記入例
2014年 | 4月 | 株式会社〇〇 入社 |
営業部 コンシューマー営業チームに配属 | ||
2017年 | 3月 | 係長に昇進 |
法人格のない会社に勤めていた場合には、屋号(「〇〇商店」など)を記入します。
また、実家の家業を手伝っていた経歴については、以下のように記載します。
◆家業を手伝っていた場合の記入例
2014年 | 4月 | 家業(〇〇商店)に従事 |
記載した「学歴」とだいたい位置が揃うようにバランスを見ながら記入しましょう。
西暦・和暦は統一して記入
職歴についても、学歴と同様、西暦でも和暦でもどちらでも問題ありません。
ただし、学歴と職歴の両方で西暦もしくは和暦のどちらかに統一しましょう。
最後の行に右詰めで「以上」と記載
最後の行に、右詰めで「以上」と記入しましょう。
職歴が書ききれない場合
転職の回数が多い方は、履歴書の欄に職歴が書ききれないことがあります。その場合の対処法は2通り考えられます。
学歴・職歴欄の多い履歴書を使用する
履歴書は書式によって枠の数が異なるので、学歴・職歴欄の多い書類を使用します。
職歴を職務経歴書にまとめる
職歴を出来るところまで記載した後に「詳細は、職務経歴書をご参照ください」と記載します。
◆学歴・職歴欄に書ききれない場合の記入例
2014年 | 4月 | 〇〇株式会社 入社 |
2017年 | 3月 | 一身上の都合により〇〇株式会社を退職 |
詳細については、別紙職務経歴書をご参照ください | ||
以上 |
職務経歴書はフォーマットが決まっていませんが、このような形で利用する際は、履歴書に近い形式で書くことで採用担当者側にとって見やすい書類になります。
学歴・職歴を書くときのポイント
最後に、学歴・職歴を書くときの注意点やポイントについて、具体例も交えながらご紹介します。どのように記載すれば良いか分からない場合は参考にしてください。
転校した場合
途中で学校を転校した場合は、「転入学」と記入します。
◆転校の記入例
2014年 | 4月 | 〇〇高等学校普通科 入学 |
2015年 | 9月 | ▲▲高等学校普通科 転入学 |
2016年 | 3月 | ▲▲高等学校普通科 卒業 |
学校名・学科名が変更になった場合
学校名や学科名が変更になったときは、卒業前に名称が変わったか、卒業後に変更になったかで、記入の方法が少し変わります。
◆入学後・卒業前に学校名や学科名が変更になった場合の記入例
2014年 | 4月 | 〇〇高等学校普通科 入学(現▲▲高等学校) |
2017年 | 3月 | ▲▲高等学校普通科 卒業 |
◆卒業後に学校名や学科名が変更になった場合の記入例
2014年 | 4月 | 〇〇高等学校普通科 入学(現▲▲高等学校) |
2017年 | 3月 | 〇〇高等学校普通科 卒業(現▲▲高等学校) |
以上のように、入学時、卒業時での正式名称を記載して、現在(履歴書記入時点)の正確な名称を補足するようにします。
中退した場合
事情により学校を中途退学してしまった場合には、「〇〇高等学校中途退学」と記載します。「中退」ではなく「中途退学」と省略せずに記載しましょう。
また、経済的な事情や家庭の事情など、やむをえない理由で退学したときは、簡単に理由を記載しましょう。はっきりと理由を記載しないと、ネガティブな印象を持たれてしまう可能性があります。
◆中退の記入例
2014年 | 4月 | 〇〇専門学校〇〇学科〇〇コース 中途退学 |
家庭の経済事情のため |
※中退の事実を隠すために「卒業」と虚偽の記載をしてしまうのは、採用のルール違反になるので止めましょう。虚偽の記載が後から発覚した場合に、状況によっては解雇されてしまう可能性もあります。
留学した場合
1年以上の正規留学や交換留学をした場合には、履歴書にその旨を記載します。
その際には、国名と学校名・学科名の正式名称を記載します(カタカナや漢字で問題ありません)
ただし、語学留学や1年以内の短期留学については、専門分野を学んだわけではないので学歴欄には記載しません。短期留学で身につけた語学力などをアピールしたい場合は「自己PR」の欄に記載しましょう。
◆大学の途中で交換留学をした場合の記入例
2013年 | 4月 | 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 入学 |
2014年 | 4月 | 2015年3月までアメリカ 〇〇大学〇〇学部に交換留学 |
2017年 | 3月 | 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 卒業 |
休学した場合
休学した場合には、休学したこととその理由をそれぞれ一行ずつ使って記載します。
◆休学の記入例
2014年 | 4月 | 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 入学 |
2014年 | 9月 | 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 休学 |
病気療養のため。現在は完治しており、就労に支障ありません | ||
2019年 | 3月 | 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 卒業 |
浪人・留年した場合
浪人や留年をした場合、特に浪人・留年したことを記載する必要はありません。入学と卒業の年月を正しく記入すれば、浪人や留年の事実が採用担当者に伝わるからです。記入すれば、浪人・留年してしまったことを強調してしまうことになります。
なお、浪人や留年についても退学と同様にポジティブな理由(海外留学など)や、やむをえない理由があれば簡潔に記載しましょう。
正社員としての職歴は漏れなく記入する
正社員の職歴は、短期間のものも含めて漏れなくすべて記入しましょう。短期間の職歴を隠しておきたい気持ちもあるかもしれませんが、会社に勤める際に提出する雇用保険の書類から、過去の職歴が分かってしまう可能性があります。
アルバイト歴は基本的には記入不要、派遣社員歴は書き方に注意
アルバイトの職歴は、正社員として働く際には「職歴」としてみなされないため、基本的には記入不要です。しかし、応募する職種によってアルバイトの経験が活かせそうな場合は正社員同様、職歴の欄に記載するのがおすすめです。その際は正社員としての経歴と区別するため、雇用形態がアルバイトであった旨も併せて記載しましょう。
また、派遣社員としての職歴は派遣元の会社と派遣先の会社、派遣期間を分かりやすく記載しましょう。ただし、正社員として就業していた期間がある場合はそちらを優先して書きます。派遣社員としての経歴よりも、正社員としての経歴が重視される傾向があるためです。
◆派遣社員としての職歴の書き方例
2014年 | 4月 | 株式会社〇〇より××株式会社 営業部へ派遣社員として就業 |
2015年 | 3月 | 派遣期間満了につき退職 |
退職理由の書き方
退職理由は、自身の都合など特に具体的な理由を伝える必要がない場合は、「一身上の都合により」とすれば問題ありません。会社の倒産やリストラなどによる理由の場合は、「会社都合により」とし、派遣社員で契約期間が満了となった場合は、「契約期間満了につき退職」と記載しましょう。
◆退職理由の書き方例
2014年 | 3月 | 一身上の都合により〇〇株式会社を退職 |
◆病気療養を理由に退職した場合の書き方例
2014年 | 3月 | 病気療養のため〇〇株式会社を退職(現在は完治) |
※ただし、短期間での退職の場合や会社都合の退職の場合などは、理由を一言添えた方が良いでしょう。
在職中の場合
転職活動中であるものの、前職にまだ在職中の場合は「在職中」であることと退職予定の時期を記載します。
◆在職中の場合の書き方例
2014年 | 4月 | 〇〇株式会社入社 在職中(2020年4月退職予定) |
会社名が変わったとき
入社後に会社名が変わったときの書き方は、学校名が変わったときと同じように、社名変更の時期によって2種類の書き方があります。
◆入社後・退職前に社名が変更になった場合の記入例
2014年 | 4月 | 〇〇株式会社(現▲▲株式会社) 入社 |
2017年 | 3月 | 一身上の都合により▲▲株式会社を退職 |
◆退職後に社名が変更になった場合の記入例
2014年 | 4月 | 〇〇株式会社(現▲▲株式会社) 入社 |
2017年 | 3月 | 一身上の都合により〇〇株式会社(現▲▲株式会社)を退職 |
おわりに
履歴書の学歴と職歴の書き方について、ご理解いただけたでしょうか?
履歴書は正しく丁寧に記載することで、企業に良い印象を与え、自身の熱量を伝えることができます。ここで大切なのは、きれいで美しい文字を書くことではなく、丁寧な文字を書くことです。字の上手さは人それぞれ。字が下手でも丁寧に書かれた履歴書は採用担当者に伝わります。また学歴や職歴の記載に誤りや記載漏れがあった場合、履歴書詐称となり、入社できたとしても解雇される可能性もあります。